豊田電気管理事務所

Toyodadenki

2026/8/19 20:42

法令・制度

外部委託承認制度とは?対象事業場・要件・申請の流れを解説【電気主任技術者】

「電気主任技術者を雇わなくていい制度があると聞いたが、どういう仕組み?」 「外部委託の『承認』とは何を申請するのか?」

高圧受電設備や太陽光発電所を新設・取得された事業者様から、よくいただくご質問です。

この記事では、外部委託承認制度の仕組みと、対象となる事業場、受託者に求められる国の要件、そして実際の申請の流れを解説します。費用については外部委託費用の解説記事で詳しく扱っているので、本記事は「制度と手続き」に絞ってご説明します。

外部委託承認制度の仕組み

自家用電気工作物の設置者には、電気主任技術者の選任義務があります(電気事業法第43条)。ただし、一定の事業場については例外が認められています。

国の要件を満たした電気管理技術者(個人)または電気保安法人と保安管理業務の委託契約を結び、産業保安監督部長の承認を受ければ、電気主任技術者を選任しないことができる(電気事業法施行規則第52条第2項)——これが外部委託承認制度です。

ポイントは、単に「外部の業者に点検を頼めばよい」のではなく、①国の要件を満たした相手と契約し、②国の承認を受ける、という2段階になっていることです。承認を受けて初めて「主任技術者を選任しない」状態が合法になります。

対象となる事業場

外部委託できるのは、次のような事業場です。

  • 電圧7,000V以下で受電する需要設備(一般的な高圧6,600V受電のキュービクルを持つ工場・ビル・店舗・病院など)

  • 出力5,000kW未満の太陽電池発電所(電圧7,000V以下で連系するもの)

  • 出力2,000kW未満の水力・風力発電所など(電圧7,000V以下で連系するもの)

つまり、特別高圧で受電する大規模工場などを除けば、中小規模の事業場の大半が対象です。ご自身の設備が対象かどうか分からない場合は、受電電圧(電力会社との契約書で確認できます)をお調べいただくか、そのままご相談ください。

受託者に求められる国の要件

「誰でも受託できるわけではない」ことが、この制度の信頼性を支えています。電気管理技術者(個人)が保安管理業務を受託するには、国が定めた次の要件をすべて満たす必要があります(電気事業法施行規則第52条の2、関係告示)。

① 電気主任技術者免状の交付を受けていること

② 一定年数以上の実務経験があること 電気工作物の工事・維持・運用に関する実務経験が、第一種免状で3年以上、第二種で4年以上、第三種で5年以上必要です(免状交付前の期間は2分の1として計算。所定の講習修了により短縮される制度もあります)。

③ 国が定めた機械器具を保有していること 絶縁抵抗計、接地抵抗計、電流計・電圧計、高圧検電器、保護継電器試験装置、絶縁耐力試験装置など、点検・試験に必要な測定器・試験装置一式の保有が求められます。

④ 受託件数が国の基準の範囲内であること 1人の技術者が受託できる事業場数には、設備の規模・点検頻度に応じた換算値による上限が定められています。「安売りして件数を無限に抱える」ことが制度上できない仕組みです。

⑤ 事業場に速やかに到達できる体制であること 連絡場所から受託事業場へ2時間以内に到達できることなど、緊急時対応を前提とした地理的要件があります。地元の技術者に委託することが制度の前提になっているとも言えます。

これらの要件は、委託契約が「保安上支障がないか」を国が審査する際の基準です。裏を返せば、承認を受けて業務を行っている電気管理技術者は、資格・経験・装備・対応体制のすべてについて国のチェックを通過しているということです。

承認申請の流れと必要書類

申請は設置者(オーナー)名義で、事業場を管轄する産業保安監督部(福岡県の場合は九州産業保安監督部)に対して行います。実務上は、書類の作成・提出を受託者側がサポートするのが一般的で、当事務所でも一式対応しています。

基本的な流れ

  1. 委託契約の締結:設置者と電気管理技術者が保安管理業務の委託契約を結びます

  2. 承認申請書類の提出:保安管理業務外部委託承認申請書に、委託契約書の写し、受託者の要件を証する書類などを添えて提出します

  3. 審査・承認:監督部で審査が行われ、承認されると主任技術者を選任しない体制が正式に認められます

あわせて、保安規程の届出(新設時)や、主任技術者に関する既存の届出の変更手続きが必要になる場合があります。審査には一定の期間がかかるため、業務開始希望日から逆算して早めに動き出すことが大切です。

ケース別:手続きのタイミング

新設の場合 使用開始前に、保安規程の届出と外部委託承認(または主任技術者の選任)を済ませておく必要があります。受電のスケジュールに間に合わないと使用開始できないため、計画段階(工事の設計・契約時期)からのご相談が安全です。電気工事業者様からの、施主様案件のご相談も承っています。

委託先を切り替える場合 新しい委託先との契約に基づき、承認の手続きをあらためて行います。保安管理が途切れないよう、現契約の解約日と新契約の開始日を揃えるのがポイントです。切り替えの詳しい流れは委託先の選び方と切り替えの記事をご覧ください。

建物・発電所の所有者が変わった場合 前所有者の委託契約・承認は新所有者に引き継がれません。設備を取得したら、新所有者名義での契約と手続きが必要です。ここが漏れたまま運用されているケースが実務上は少なくありません。取得のタイミングは設備の総点検の好機でもあります(当事務所では所有者変更に伴う竣工検査・PCB検査の実施事例があります)。

注意点:承認は「取りっぱなし」ではない

承認後も、点検が国の頻度基準(月次点検・年次点検)どおりに実施されていることが前提です。点検の頻度と内容については月次点検・年次点検の解説記事をご覧ください。

また、委託契約の内容に変更があった場合(設備の増設・契約条件の変更など)には変更の手続きが必要です。要件を満たさない状態が判明した場合、承認が取り消されることもあり得ます。信頼できる受託者を選び、設備の変更時には必ず相談する運用にしておけば、心配はいりません。

おわりに

外部委託承認制度は、「有資格者を雇えない中小規模の事業場でも、国が審査した専門家への委託によって保安レベルを確保する」ための仕組みです。手続きには書類と時間が必要ですが、そのほとんどは受託者側でサポートできます。

当事務所は、福岡市エリア・筑豊エリア(飯塚市・田川市・直方市など)を拠点に、福岡県内全域に対応しています。新設時の承認申請、委託先の切り替え、所有者変更に伴う手続きは、豊田電気管理事務所までお気軽にお問い合わせください。書類作成から提出までサポートいたします。

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