豊田電気管理事務所

Toyodadenki

2026/8/2 22:04

実施事例

【飯塚市】所有者変更に伴う竣工検査とあわせてPCB検査(PCB含有調査)を実施しました

先日、飯塚市内の事業場でPCB検査(PCB含有調査)を実施いたしました。

今回の事業場は、建物の所有者が変わった物件です。新しい所有者様のもとで高圧受電設備の竣工検査を実施することとなり、そのタイミングで経年劣化が進んでいたPAS(高圧気中負荷開閉器)の交換工事も行いました。

さらに、設備内の変圧器(トランス)も古く、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の混入が疑われる年式であったため、あわせてPCB検査を実施しています。今回はその内容についてご紹介いたします。

なぜ今、PCB検査が必要なのか

【画像①:検査対象の変圧器】

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて変圧器やコンデンサの絶縁油に広く使用されていた化学物質ですが、人体や環境への有害性から現在は製造・使用が禁止されています。

しかし、1994年(平成6年)以前に製造された変圧器・コンデンサ等の絶縁油には、微量のPCBが混入している可能性が否定できないとされています。外観だけでは判別できないため、絶縁油を採取して分析する「PCB検査(PCB含有調査)」が必要になります。

そして重要なのが処分期限です。PCB特別措置法により、低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年(令和9年)3月31日と定められています。期限を過ぎると処分そのものが困難になるだけでなく、法令違反として罰則の対象となる恐れもあります。

古い受電設備をお持ちの事業場では、「うちのトランスは大丈夫か?」を早めに確認しておくことが、リスク回避の第一歩です。

処分期限を過ぎるとどうなる?事業主にとっての5つのデメリット

「期限を過ぎたら、そのとき考えればいい」――そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、処分期限の超過は事業主にとって非常に大きなリスクとなります。

① 罰則の対象となる可能性(懲役・罰金)

期限を過ぎてもPCB廃棄物を処分せず保管し続けている場合、環境大臣または都道府県知事から改善命令が出される可能性があります。この改善命令に違反した場合、PCB特措法に基づき「3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方」が科される可能性があります。

また、保管状況の届出を怠った場合や虚偽の報告を行った場合にも、罰金等の対象となります。

② 処分そのものができなくなる恐れ

低濃度PCB廃棄物を処理できるのは、環境大臣の認定を受けた無害化処理施設等に限られます。処分期限を過ぎると、これらの施設での受け入れが終了し、処分の手段そのものが失われ、事業者が半永久的に保管し続けなければならなくなる恐れがあります。

実際に、すでに処分期限が終了した高濃度PCB廃棄物では、期限後に発見されたケースの取り扱いが大きな問題となっています。「処分したくてもできない」状態は、事業者にとって最も避けるべき事態です。

③ 処理費用の高騰・処理業者の確保が困難に

期限が近づくにつれて処理の駆け込み需要が集中し、処理費用の上昇や、分析機関・処理業者の予約が取りにくくなることが予想されます。検査から処分完了までは、採油分析→届出→収集運搬・処分委託契約→処分実施と複数のステップがあり、数か月単位の期間を要します。「期限直前に動き出したが間に合わなかった」というリスクを避けるためにも、早めの着手が肝心です。

④ 解体工事・不動産売買が進められなくなる

PCB含有の有無が不明な変圧器・コンデンサが残っている建物は、解体・改修工事に着手できない、あるいは不動産取引の障害になるケースがあります。買主や工事業者の立場からすれば、処分費用や法的リスクが読めない物件を引き受けることはできません。資産価値の低下に直結する問題です。

⑤ 企業の信用・社会的評価へのダメージ

法令違反の状態が明らかになれば、行政指導や命令にとどまらず、取引先・金融機関・地域社会からの信用低下につながりかねません。環境コンプライアンスへの関心が高まる中、「有害物質を放置していた企業」というレッテルは、罰金額以上のダメージとなり得ます。加えて、保管を続ける間は漏洩や火災・災害時の環境汚染リスクも抱え続けることになります。

こうしたデメリットを回避する方法はただ一つ、期限までに検査を実施し、含有が確認された場合は適正に処分を完了させることです。その第一歩が、今回ご紹介するPCB検査(採油・分析)です。

実施の背景:所有者変更・竣工検査・PAS交換

今回の事業場は、所有者が変更となった物件でした。新所有者様が設備を引き継ぐにあたり、当事務所にて竣工検査を実施。その際、以下の対応をあわせて行いました。

  • PAS(高圧気中負荷開閉器)の交換:経年劣化が進んでおり、波及事故防止の観点から更新

  • PCB検査の実施:既設の変圧器・コンデンサがPCB混入の疑われる年式であったため、絶縁油の採油・分析を実施

所有者変更や設備更新のタイミングは、既設機器の状態を総点検する絶好の機会です。特に前所有者の管理記録が十分に残っていない物件では、PCBの含有有無が不明なまま設備を引き継いでしまうケースが少なくありません。

PCB検査の対象機器と採油作業の様子

【画像②:蓋を開放した変圧器内部】

今回のPCB検査では、以下の3検体を対象に絶縁油の採取を行いました。

  1. 電灯変圧器

  2. 動力変圧器

  3. 高圧進相コンデンサ

作業では、変圧器のハンドホール(点検口)を開放し、専用のスポイトを用いて内部の絶縁油を採取します。採取した油は分析機関に送付し、PCBの含有濃度を測定します。

【画像③:スポイトによる絶縁油の採油作業】

採油作業自体は短時間で完了しますが、停電を伴う作業となるため、年次点検や竣工検査、設備更新工事など、停電のタイミングにあわせて実施するのが効率的です。今回も竣工検査・PAS交換工事と同日に実施することで、お客様の停電負担を最小限に抑えることができました。

分析の結果、PCB含有が確認された場合には、法令に基づく届出や適正処分が必要となります。その際の手続きについても、当事務所がサポートいたします。

工事業者様・事業場オーナー様へ ― こんな設備は要注意

以下に当てはまる場合は、PCB検査の実施をご検討ください。

  • 1994年(平成6年)以前に製造された変圧器・コンデンサが設置されている

  • 銘板が読み取れない、製造年式が不明な機器がある

  • 所有者変更・事業承継・不動産売買で設備を引き継いだ(引き継ぐ予定がある)

  • 建物の解体・改修工事を予定しており、キュービクルや変圧器の撤去が見込まれる

  • 前所有者・前任者の管理記録が残っておらず、PCB調査の実施履歴が不明

特に解体・改修工事を請け負う工事業者様にとって、PCBの有無が不明な機器は撤去・処分の工程に大きく影響します。着工前にPCB検査を済ませておくことで、工期の遅延や想定外の処分費用の発生を防ぐことができます。

また、事業場オーナー様にとっては、処分期限(2027年3月31日)が迫る中、「調査未実施のまま期限を迎える」ことが最大のリスクです。前述のとおり、期限超過は罰則や処分不能といった深刻なデメリットに直結します。分析から処分完了までには一定の期間を要するため、余裕を持った対応をおすすめします。

おわりに

今回は、飯塚市内の事業場における竣工検査・PAS交換にあわせたPCB検査の実施事例をご紹介しました。

所有者変更や設備更新は、電気設備の安全性を見直す大きな節目です。豊田電気管理事務所では、竣工検査や保安管理業務とあわせて、PCB検査(採油・分析手配)から、含有が確認された場合の届出・処分のご相談まで一貫してサポートいたします。

「うちの変圧器は古いけど大丈夫?」「製造年式がわからない」といった段階でのご相談も歓迎です。

福岡県内(飯塚市・筑豊エリアをはじめ県内全域)でPCB検査・電気設備の保安管理をご検討の際は、豊田電気管理事務所までお気軽にお問い合わせください。

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